
力丸 知己さん
Satoki Rikimaru
株式会社アソウ・ヒューマニーセンター 職業紹介事業部 紹介チームで主任を務める。インフラ系の代理店営業を経て2022年8月に入社。

福永 彩さん
Aya Fukunaga
株式会社アソウ・ヒューマニーセンター 職業紹介事業部 紹介チームに所属。「人の人生の大切な決断に関わる」職業を志し、2023年4月に新卒入社。現在は商社、メーカー、金融業界を中心に担当している。
「一人二役」で精度の高いマッチング
人材紹介会社は一般的に転職エージェントと呼ばれるスタッフが企業と求職者の間に立ち、マッチングを行う。大手の人材紹介会社は企業へのヒアリングを基に人材を紹介する「リクルーティングアドバイザー(RA)」と、求人案内・書類添削・面接対策など求職者をサポートする「キャリアアドバイザー(CA)」をそれぞれ置いているが、AHCのスタッフは一人で二役を兼ねている。企業と求職者、それぞれの情報を一人の担当者に集約することで最適な提案が実現でき、精度の高いマッチングにつながっている。

企業が求めている人材のイメージや、なぜそのポジションが必要とされているのかなど細かな部分まで求職者様に伝えるのですが、「そんなところまで教えていただけるんですね」と驚かれる方もいます。企業の採用担当者からは「提案の数は多くても我々のニーズからは遠い方を紹介してくるエージェントもあるなかで、AHCさんの提案は的確だと社内でも好評です」と言われることも少なくありません。

一人のスタッフがそれぞれにヒアリングをするため提案の件数自体は多いわけではない。お互いの意思を慎重に確認するため、成約までに一定の時間もかかる。それでも求職者と企業の両者から高く評価されているのがAHCの人材紹介サービスだ。
「成約の先」を常に見据える
人材紹介の業務内容を改めて確認しておこう。サービスの根幹となるのが企業へのヒアリングと求人案件の確認だ。新規開拓営業と言われ、新たに配属された社員が最初に取り組む。どの企業にアプローチするかは各担当者の裁量に任されている。自社サイトなどで人材募集をかけている企業、新たな組織や事業を立ち上げた企業のほか、金融・商社・製造など人材の流動が活発な業界が中心となる。相談を受けている求職者がいれば、その求職者のスキルを生かせそうな企業へ提案に行く。

企業から求人案件が出ると、条件に該当する求職者をリサーチしていく。某転職サイトへの登録者にスカウトメールを送り、興味を持った登録者がいれば面談した上で企業への推薦、面接へと進むのが一般的な流れだ。成約すれば転職サイトに媒体使用料を支払い、企業からは紹介手数料を受け取る。

人材を募集する企業には「人を採用することで何を改善したいのか」を確認します。即戦力を求めているのは理解しつつも、その方のスキルだけでなく考え方や成長意欲など内面的な部分も含めてご紹介します。その段階で見送りになることもありますが、採用後の早期離職を防ぐためにも欠かせない部分だと思っています。
求職者様には「転職して何を実現したいのか」「何が得られたら成功なのか」といった転職の「軸」を必ず聞くようにしています。重視するのは「働く場所」なのか。年収など「待遇面」なのか。休日や福利厚生など「ワークライフバランス」なのか。そこを明確にした上でマッチングできそうな企業を探していきます。

「求職者様が本当に次の職場で活躍できるか、幸せに働けるか、常に意識しなさい」という上司の言葉が仕事をする上での一つの軸になっています。転職支援をしていくなかで私自身も「この方にこの企業を薦めていいのか」と迷うときがあるので、そういう時はこの言葉に立ち返るようにしています。
企業側には、面談の際に求職者様からよく出る質問、気にしていることなどをリアルな情報としてお伝えします。その情報をもとに求人内容や選考プロセスを見直すこともあり、スムーズな採用につながっていきます。
長くて濃密な時間の後に大きな充実感
AHCの転職エージェントはそれぞれの立場に寄り添い、時にはぶつかりながら最適なマッチングに向けた折衝を粘り強く続けていく。最初の面談から成約まで平均して2~3カ月。結果が出るまで時間がかかる分、成約時の嬉しさは格別だと二人は口を揃える。

これまで様々な求職者様の転職支援に関わってきましたが、やはり印象に残るのは内定が決まったとき。長文のお礼メールを送ってくれた方。涙を流して喜んでくれた方。友達のような関係を築けた方。求職者様の配偶者からお礼の電話をいただいたこともあります。そんな時は「少しはいい仕事ができたのかな」と思います。企業を訪れた時に紹介者が元気に働いている姿を拝見し、企業担当者から「○○さん頑張っていますよ」と言われた時も嬉しくなりますね。
提案に満足いただけると企業からも次の求人の依頼が入ったり、採用についての相談を受けたりするようになります。真摯に仕事に向き合うことで、スキルや視野が広がっていくことを実感しています。

先日も転職が決まった方から「担当が福永さんでなければ、私はこの会社に入社できなかったと思います」とメールをいただきました。そうやってお礼をいただける時が、本当に嬉しいです。

当初はスキルや条件など表面的な部分だけを見てマッチングを行うことの多いエージェントも、経験を重ねるなかで業界の状況や企業が抱える課題を把握し、求職者の思いを汲み取った上で提案する術を身に付いていく。成約実績に加え、新たな職場で生き生きと働く紹介者が増えていくことは、エージェントとしての成長の証でもある。

配属されてしばらくは「成約につなげる」ことに精一杯でしたが、結果が出るようになると少しずつ自信が芽生えてきました。自信は心に余裕やゆとりを与えてくれます。心にゆとりを持てるようになったことで、どうすれば求職者様、企業の役に立つことができるか考える時間も増えていきました。入社時に比べると目の前の成約だけでなく、それぞれの将来を見据えた提案ができるようになったと思います。

新卒で入社して業界や職種のことをほとんど知らない状態からのスタートだったので、最初は分からないことだらけでした。業界や職種の知識がないと企業にも求職者様からも信頼を得るのは難しいと思い、「調べる」「聞く」「学ぶ」を積極的に行うことを心掛けました。分からないことがあれば正直に分からないと言い、先輩や求職者様に教えを請う。先輩が求職者様と面談をしているところに同席させてもらう。逆に同席していただき改善のポイントを教えてもらう。あらゆる方法で知識を身に付けているところです。
雇用を通じた社会貢献
入社してそれぞれ2年目、3年目を迎え紹介チームで最前線に立つ二人。彼らが一緒に働きたいと思うのはどんな人なのか。そして人材紹介サービスという仕事に向いているのはズバリ、どのような人なのか。

特に大切だと思うのは「前向きな姿勢」と「主体性」です。人材紹介は企業と求職者様、それぞれの思いを相手に伝える仕事。そのため私たちがネガティブな思考だと企業や求職者様にベストの提案、サポートができません。お互い本気ですから意見がぶつかることもあります。ただ、そこで心を閉ざしたり成約を諦めたりするのではなく、前向きな気持ちで相手のすぐれているところに目を向けるようにしています。
どのような仕事でも信頼関係は大切ですが、主体的に動いて相手の期待以上のものを提案していくと信頼が得られます。信頼されると仕事も楽しくなり、数字にもつながっていく。そうした取り組みができる人がこの仕事に向いていると思いますし、一緒に働きたいと思います。

最初の面談から内定まで平均すると2~3カ月はかかります。「この求人はいつ成約するのだろう」と先が見えなくなることもあります。その中で粘り強く、コツコツと頑張れるかどうか。そういう人がこの仕事には向いていると思います。
最後に今後の目標、目指すキャリアについて聞いてみた。二人とも「今は目の前の仕事に一生懸命に取り組んでいるところです」「明確なキャリアゴールが見えているわけではありません」としながらも、いま思っていること、感じていることを率直に語ってくれた。


雇用を通じて社会に貢献していきたいと思っています。私はこれまで「この人すごいな」と思える人たちに会ってきましたが、彼らのなかにも中途採用で入社し、環境が変わったことで力を発揮している人もいます。マッチングが成功し、それぞれが持っている力を100%、120%発揮できる環境で働けるようになれば、企業も世の中ももっと良くなっていくはず。そういう部分に関わっていきたいですね。

就活では、「人の人生の大切な決断に関わりたい」と思っていました。そして今、転職という人生の転機に関わる仕事をしているわけですが実際に仕事をしてみると、その厳しさ、難しさ、責任の重さを痛感しています。それでも「この人に任せてよかった」と思われるよう、一人ひとりに丁寧に向き合っていきたいと思っています。
いつも私を支えてくれている会社やスタッフへのお返しもしていきたいです。入社する時、「働き始めると出社したくない日もあるんだろうな」と思っていたのですが、そんな日は一日もありませんでした。初成約の時にはチームのメンバーだけでなく同じフロアの方も一緒に喜んでくれ、大阪や東京など遠方のスタッフも業務のやり取りのなかで気にかけてくれます。本当にこの会社に入ってよかったと思っています。これから入社してくる人たちにも同じように感じてもらえるよう、今後は私も支える側に回っていきたいです。
人材紹介サービスを利用する企業にとって最大の懸念は、採用後の早期離職です。成約時に人材紹介会社へ支払う紹介手数料に加え、面接や入社後の研修などに費やした時間を失うことは大きな損失となります。私たちは一人の担当者が企業側と求職者様、それぞれへのヒアリングによって「思い」の部分までしっかり把握しているため、ミスマッチによる早期離職率が極めて低くなっています。