
今井 雄一さん
Yuichi Imai
株式会社アソウ・アカウンティングサービス 営業部 兼 管理本部 副部長。福岡県出身。2004年、大学卒業と同時に株式会社アソウ・ヒューマニーセンターへ新卒入社、現在21年目。同社で福岡・久留米の支店長などを経て、2017年10月より現職。

永留 宏一さん
Kouichi Nagadome
株式会社アソウ・ヒューマニーセンター BPO事業部 副部長。長崎県出身。流通業界の店舗運営でキャリアを積み、2011年に株式会社アソウ・ヒューマニーセンターへ入社、現在15年目。入社後、事業開発部、福利厚生のアウトソーシング事業を経て、2021年12月より現職。
それぞれの持ち味を展開する、グループ2社
株式会社アソウ・ヒューマニーセンターを中心に、10社のグループ会社で構成される、アソウ・ヒューマニーセンターグループ(以下、AHCG)は、創立以来40年にわたり、人材派遣、人材紹介、人材教育、採用支援、BPO、障がい者雇用、外国人労働者派遣事業など、多様なヒューマンソリューションを提供している。
そのAHCGにおいてBPO事業を担っているのが、株式会社アソウ・ヒューマニーセンターBPO事業部(以下、AHC-BPO)と、株式会社アソウ・アカウンティングサービス(以下、AAS)の2社である。それぞれの事業領域と特長を紹介しよう。

学校法人対象のBPOにおいてAHC-BPOは後発だが、競合の多くが東京本社であるのに対し、本拠地の福岡で受託業務を行うAHC-BPOは運営コストが軽減しやすい。それが顧客からの「コストメリットが高い」という評価につながっている。
また学校運営のDX需要が高まる中、AHC-BPOが自社開発のプロダクトを使って業務のDX化やコスト削減に着実な成果を出している点も高く評価されている。本格始動して間もない学校法人向けプロジェクトだが、早くも全国から引き合いが後を絶たない状況だ。
※株式会社アソウ・ヒューマニーセンター(AHC)BPO事業部 採用サイトはこちら。


AASは設立以来、管理系事務の人材派遣・人材紹介・事務業務のアウトソーシング(BPO)を手掛けてきました。2年前に人材派遣と人材紹介業務をAHCに移管し、現在はBPOに特化して事業を展開しています。
AASが得意としているのが、「給与計算代行業務」と「経理代行業務」である。さらに、その他業務も展開しており、問い合わせ対応業務やデータ照合作業なども受託している。

自社グループ会社の20年に及ぶ各種事務代行経験を活かし、お客さまのBPO受託を行っています。給与計算代行や経理代行では、お客さまのシステムやソフトを弊社が使って業務処理をするサービスも提供しており、大変喜ばれています。
※株式会社アソウ・アカウンティングサービス(AAS)/コーポレートサイトはこちら。
- AHC-BPOとAASの業務範囲について
【AHC-BPO】 大手金融機関の事務委託を中心に、業務効率化のためのBPOサービスが中心 | ・事務委託(大手金融機関) ・奨学金業務支援(学校法人) ・大型商業施設のインフォメーション業務 ・代表電話対応 |
【AAS】 経理・総務などの管理部門系のBPOサービスを中心に展開 | ・給与計算代行 ・経理代行業務 ・問合せ業務、データ照合作業など |
このようにAHCGでは、AHC-BPOとAASの2部門が、それぞれの実績と特色を生かしたBPO事業を展開している。
市場が求めるBPOを提供できる、自社の強み
広義のアウトソーシング(外部への業務委託)には、事務系業務だけでなく工場の生産ライン業務など作業系も含まれるが、BPOはBusiness Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)という名称が示す通り「1から10のビジネス業務のうち、例えば3から6を預かります」というものである。
またBPOは従来のアウトソーシングと比べて、業務改善提案、業務の切り出しやKPI設定、導入前のコンサルティングなど、顧客の業務全体に関わる点の深さに違いがある。

市場が求める要素も変わりつつあります。単に切り出した業務の受託先ではなく"業務改善のパートナー"や、事業継続に向けたソリューションを提案する"伴走者"としての意識とスキルやノウハウが求められるようになりました。
的確な業務の切り出しやマニュアル化、業務改善提案など、市場ニーズの変化に即したリソースを、もっと充足させなければならない。それが目下の前向きな課題です。
市場には、人材系、システム系、士業系(※)、コンサルタント系など、多様なBPO事業者が存在する。だが、自らの中核業務を進化させ、持ち味を生かしながら多くの企業が求めるBPOを提供できている組織が、果たしてどれほどいるだろうか。
※士業系……弁護士や税理士など、語尾に「士」がつく職業の俗称。
例えば、コンサルタント系は業務改善の提案は得意だが、一緒に汗を流すような関わり方をする組織は多くない。システム系は業種柄、業務受託には慣れているものの、手掛ける領域が限定的なため幅広く柔軟な対応は求めにくい。士業系も同様に、法令的視点のアドバイスに偏りがちな傾向がある。


営業活動を進める中で実感するのは、設計から運用まで"一緒に汗をかきながら伴走してくれるパートナー"が求められているという点です。そこに長年、多彩なヒューマンソリューションを市場に送り出してきたAHCGの強みを生かせるチャンスがあると確信しています。
グループ連携で広がるビジネスチャンス
事務分野には30年ほど前からいち早く、アウトソーシング(業務の外部委託)が広がった。事務スペシャリストを求める企業は非常に多いが、現在の売り手市場では人員の充足が難しい。都市部ならまだしも、地方で事務スペシャリストを採用するのは至難の業だ。その意味でも、BPOのニーズは今後ますます高まると予想される。

最近は売り手市場で経理人材の採用が難しいこともあり、経理代行の問い合わせが増えています。給与計算や経理などの業務は機密情報を扱うので、情報セキュリティへのリテラシーは日頃から重視しています。作業的感覚で単なる数字として認識すると、思わぬインシデントにつながりかねない。顧客情報にはプロ意識をもって対応するよう心掛けています。

これまで金融機関をはじめとした客先常駐型のオンサイトサービスを多く手掛けてきた背景から、コンプライアンスの徹底を最重要視しています。人材育成においては、知識やスキルの習得に加え、現場での意識醸成にも力を入れており、各現場のサイトマネージャーが中心となって丁寧に指導・支援を行っています。
また、BPO事業はAHCG各社で展開するさまざまな事業との親和性が高いため、営業同行やチーム派遣など、グループ内の連携事例も増えている。

商業施設のインフォメーションサービスでは、当社の教育事業部に接遇教育を依頼しました。他社から弊社に委託先を切り替えられたお客さまからは、「長年人材教育を手掛けてきたアソウさんなら、自前で教育まで実施してもらえるので安心できる」という声をいただいています。

大分県内のお客さまと商談した際の話です。聞けば、給与計算代行を依頼したくて東京に本社がある数社に見積もりを依頼し、話が進んでいるとのことでした。そこで弊社の給与計算代行業務をご案内したところ「やはり、顔が見える企業にお願いしたい」と言って、急きょ私たちに任せていただけることになりました。
確かに、東京本社の競合他社はリモート対応が中心で、大分など地方まで足を運ぶことはまれだ。一方、福岡本社のAHCGなら対面のやり取りがしやすい。また、関東・関西などと比較すると、地代や人件費が抑えることができるのでコストメリットも高く、関東圏の取引先もあり、今後九州外の取引先も増やしていく予定だ。その他にも、九州における”アソウ”への信頼や機動力のある営業姿勢が、企業の信頼を引き寄せる。
さらにこうしたグループ連携は、新たな商材の開発にもつながっている。

今年4月から、AHCG内のシステム会社 アソウ・システムソリューション(以下、ASS)とタッグを組んで「BPaaS(ビーパース)事業(※)」を始動しました。これは提供している業務システムを含めた、総合的なBPOサービスです。
※ BPaaS(ビーパース)とは
Business Process as a Service(業務プロセスアウトソーシングサービス)の略。企業の社内業務を一連の業務プロセスごと外部企業に委託するサービス。
従来のBPOとSaaS(サーズ/インターネット経由でソフトウェアをクラウドサービスとして利用できる仕組み。Software as a Serviceの略)を合わせた造語。多くの企業が業務効率化と生産性向上を求める中、BPaaSを有効手段として認識する流れが広がり、今後BPaaSが世界規模で急速に拡大すると見込まれている。

※RPA、AI-OCRは代理店販売となり、企業のニーズに合わせた設定をASSが行う。Vieworksは自社開発システム。
※BPaaS(ビーパース)の概要と導入事例はこちら
特色ある事業展開がもたらす、BPOの未来
本来BPOの新規プロジェクト立ち上げ時には、顧客からマニュアルや業務設計書を受け取って進めるのが一般的だ。だが未整備の場合、AHCGで連携してチーム派遣を行うこともある。

当社の各支店エリアでBPOの新規契約がスタートしたり、新卒者の新しい働き方を具現化する「キャリアビルド」をきっかけにBPOの相談が増えています。

業務内容によってはお客様の意向も確認した上で、障がい者の就労支援や障がい者で行うBPOサービスを提供するチャレンジド・アソウを紹介し、BPO受託をすることもあります。BPOのすそ野が広い点もAHCGの特色です。

人材ソリューション企業として、多様な視点から企業の課題解決に向けたワンストップの提案ができる点がAHCGの強みであることは言うまでもない。そこに、BPOで貢献できるビジネスチャンスが広がっている。
さらに今後の展開について、それぞれに描くビジョンも魅力的だ。

福岡県や福岡市と連携した、企業誘致に関するプロジェクトも進んでいます。業務を最適化して人的リソースを還元し、地方都市の事業基盤を拡大する。東京など大都市圏から九州に事業基盤を移転することで、コスト軽減など多様なメリットをもたらす。結果として、地域の雇用創出やBPOの認知向上につながるはずです。
教育の場では、文部科学省主導で学校法人数の削減が進みつつある。そこではBPOを通じた運営コストの削減が、学校存続に影響をもたらすこともあるだろう。福岡本社のBPO企業が少ない中、独自性を最大限に生かしたAHCGの事業が着実に深耕していく。

私は、BPaaSがもたらす未来に期待しています。「複合的BPOの提供」が今後のAASの事業コンセプト。そこが他社との差別化につながるでしょう。同時に、事業の収益性を上げることが前向きな課題です。BPaaSの自社システムで収益性を向上し、全国展開を加速する。BPOによる新たな流れを生み出していきたいと考えています。
今後ますますニーズの高まりが予想されるBPO市場において、どのような特色ある事業を具現化していくのか。両社の展開から目が離せない。
AHC-BPOでは長年、大手金融機関の事務委託をオペレーター約350名のチームで手掛けてきました。近年は学校法人向けの奨学金業務支援や、大型商業施設のインフォメーション業務や代表電話対応など、受託業務も広がっています。
また、従来は顧客先に常駐するオンサイトサービスを行っていましたが、今春からオフサイトサービスを本格始動したことで学校法人との取引が拡大し、現在、全国に向けた営業活動が活性化しています。