ASO TIMES

外国人雇用2025.08.29

アソウの「外国人材」向けの新戦略が介護・農業・漁業の未来を変えていく

この記事の概要

日本では、高齢化に伴う労働人口の減少によって、人手不足や採用難といった社会課題が顕在化している。その中で近年注目を集めているのが「外国人材」である。アソウ・ヒューマニーセンターグループ(以下、AHCG)では、特に人材不足が深刻化している介護・農業・漁業において、「外国人材」の雇用を生み出す新たな事業が着実な実績を上げている。
そこで今回から2回にわたり、株式会社アソウ・ヒューマニーセンター(以下、AHC)が鹿児島で展開している介護分野、そして、株式会社エヌが農業・漁業分野で手がけている外国人材事業について紹介したい。(前編:株式会社アソウ・ヒューマニーセンター鹿児島支店/後編:株式会社エヌ)
今や、日本経済を支える重要な存在となった「外国人材」を取り巻く新たな事業スキームが、社会課題解決の一端を担っていると言っても過言ではない。

吉永 亮さん
Ryo Yoshinaga

株式会社アソウ・ヒューマニーセンター 鹿児島支店 支店長。鹿児島県出身。大学卒業後、銀行に4年間勤務。その後、未知の分野でキャリアを構築するため、外資系煙草会社、煙草の卸売会社、就労支援事業所、牛乳宅配業に勤務。2016年、株式会社アソウ・ヒューマニーセンターに入社し、10年目を迎えた。2018年1月より現職。

大瀬良 淳平さん
Junpei Osera

株式会社エヌ 事業部長 福岡県出身。大学を卒業して地場食品メーカーに勤務。退職後、縁あって学生時代に派遣で仕事をしていた、株式会社ユニバースクリエイトに入社。約10年間、大学生の就職支援や公共事業を行う。以前から関心をもっていた、農業分野のビジネスを行う株式会社エヌに、社内制度(チャレンジポスト)で異動を希望し、2024年7月から現職。

取材ご協力先:医療法人日章会 南鹿児島さくら病院 様

看護大学生をゼロから”育てる”新事業

拠点開設以来、鹿児島エリアに多彩なヒューマンソリューションを提供してきたAHC鹿児島支店。だが5年ほど前までは、医療福祉分野のニーズに十分応えられていないというジレンマを抱えていた。

吉永さん

人手不足が慢性化している業界ですが、鹿児島では採用が難しく、決定打を出せずにいました。大都市圏や主要都市部ではすでに、外国人材があらゆる労働市場で急増していましたが、南九州の動きは鈍かった。
支援機関の不透明な実態や、多額の借金を背負って来日する実習生の定着率の低さなど、外国人材を取り巻くさまざまな課題がネックとなり、なかなか踏み出せずにいたのです。

そんな中、東京・岡山・熊本で事業を展開する社会保険労務士法人との出会いが、ターニングポイントとなった。それが、インドネシアの看護大学生を、受け入れ法人が教育投資して個人に一切の負担を負わせずゼロからプロへと育てる、次世代型のクリーンな外国人材事業『介護スタッフ採用養成プログラム』である。

『介護スタッフ採用養成プログラム』の特色

  • 信頼できる法人・支援機関・パートナーによるクリーンな連携事業。
  • 日本で介護職就労を希望する、インドネシア在住の看護大学生(新卒)のみ紹介。
  • ゼロベースから、特定技能対象試験に合格する水準の日本語教育を実施。
  • 教育費は受け入れ法人が投資するため、当事者は借金をせずに入国・就労できる。
  • 充実した体制で、入国前後の煩雑な手続きや就労後の定着支援を全面的にバックアップ。
吉永さん

「個人が来日費用を一切負担することなく、丁寧な教育で大切に育て、安心して長く働ける仕組みの確立」という点が、この事業の一番の特長です。これなら人材難に悩む多くの医療福祉法人に安心して紹介できる。また定着率の安定化に伴って、地方の医療福祉分野が抱える慢性的な課題に風穴が開けられると思いました。

介護士として働いているインドネシア出身のイマスさん。病院内で交わす言葉は、すべて日本語。しっかりと勉強して来日するので、日常的なコミュニケーションは全く問題がない。

2020年、AHCは社会保険労務士法人との業務提携で、『介護スタッフ採用養成プログラム』を本格始動した。
現地での採用・教育、各種申請業務や入国準備、受け入れ法人の事前研修、来日に伴う行政手続きや各種ガイダンス、入職後の定期面談や生活支援・相談対応などは、すべてパートナーであるサード社が担当する。
AHC鹿児島支店が担うのは、鹿児島エリアにおける周知活動と取引先開拓。ヒューマンソリューション事業を通じて長年にわたり培った実績と信頼に、新たな事業スキームが加わったことで活動は勢いづいた。

ポイントは、入職後3年間の高い定着率

これまで鹿児島の外国人労働者の多くはベトナム出身者であったが、ここ数年、インドネシア出身者が急激に増えている。インドネシアの人口は日本の約2.3倍。生産年齢人口の最も多い層を20代の若者世代が占め、経済成長率もめざましい。
だが、インドネシアの看護師の社会的地位は日本に比べて低い。月収も平均約3万円と、専門性の高い職種の割に十分ではない。そのため、看護大学に進学するほど優秀な人材でも国内で満足な仕事に就けないため、海外にチャンスを求める若者が増えている。

吉永さん

インドネシアの人々は穏やかで、微笑みを絶やしません。勤勉で、もともと優秀な学生だけに日本語の習得も早い。国家間の関係性も良く、日本文化との親和性も高い。円安の影響で日本より高収入を得られる国があるのに、日本で働くことを希望する若者が多いのは、治安の良さや、法整備により賃金や労働時間が安定している点などが挙げられます。

紹介先への訪問時には、できるだけ顔を合わせて会話をする。日本の生活や、最近の趣味など、日常会話を通じてフォローを行う。

現在の日本の法律で彼らが就業できるのは、介護職と看護助手である。そのため、AHCの取引先は病院等の医療機関や介護施設など、医療・福祉系の法人が対象となる。

吉永さん

事業を本格スタートした当初、市場の反応はやや及び腰でした。その後、コロナ禍による停滞期間を経て、ここ3年ほどで導入法人が着実に増え、実績に基づく紹介が横展開で広がっています。今では23法人と取引があり、約140名が就労するまでになりました。

本事業は、個人の費用負担が一切ない入国・就労できる仕組みであり、看護大学卒業生のみを紹介するため、転職がほとんどない点が大きな特長である。就職後3年間の離職率が約30%と言われる日本の新卒採用市場に対して、本事業を通じて就労したインドネシア出身者の3年間の離職率は、約5%と極めて低い。実際の理由も結婚に伴う退職や帰国などで、ミスマッチや転職など自己都合による退職は実質ゼロである。

職場や地域に”新しい風”をもたらす存在

取引先の医療・福祉法人からは、「彼らの存在が確実に職場の活性化につながっている」という声が寄せられている。

吉永さん

鹿児島市内にある医療福祉法人の看護師長(70代)は、これまで「患者も入居者もスタッフも高齢者で、まさに老々看護、老々介護よ」と嘆かれていました。しかし、インドネシアから孫世代の若者を迎えた今は、職場に活気が生まれたそうです。OJT教育の仕組みを再構築するなど熱心に工夫を重ね、「引退できないわね」と喜んでいらっしゃいます。

イマスさんの丁寧な仕事ぶりは、患者さんだけでなく、一緒に働く介護士さんたちからも「いつも細やかな気配りがすばらしく、とても助かっている」と高い評価を受けている。

吉永さん

また、彼らが日々の暮らしの中でお金を使い、社会保険や税金を納めることで、地域経済が潤います。鹿児島は固有の文化が色濃く残る地域という印象を持たれがちですが、若い外国人材の存在は、間違いなく職場や地域に〝新しい風〟をもたらしているのです。

グループ海外事業チームが生み出す未来

鹿児島で実績を残した『介護スタッフ採用養成プログラム』は、今後、長崎や大分など九州全体に拡大していく。それを担う中核部署として、現在AHCでは、海外事業チームを立ち上げる準備が進行中だ。

吉永さん

外国人材の事業領域では、大手企業の地方進出が進んで競合他社も急増、価格競争が激化しています。しかしAHCは、九州における実績と信頼、機動力ときめ細かな対応力では絶対に負けません。

もちろん、市場への冷静な判断をもとに、顕在的・潜在的の両面から、将来に向けた課題解決への現実的な戦略も練っている。

吉永さん

インド・中国・アメリカに次ぐ人口世界4位のインドネシアですが、労働力の供給が永遠に続くとは言えません。事業展開は加速しつつ、将来を見据えてよりグローバルな国選定を進め、人材紹介以外の定着支援に具体的に力を入れる必要があります。

その有効な基盤となるのが、アソウ・ヒューマニーセンターグループ(以下、AHCG)が展開する、多彩なヒューマンソリューションである。

吉永さん

例えば、AHCGには、充実した福利厚生メニューを従業員が気軽に利用できる「福利厚生倶楽部九州」があります。定着支援の一環として、外国人材が安心して働ける環境整備に取り組むことは、ひいては日本人労働者の職場環境整備にもつながります。
AHCGには、価値の高い事業資産が数多くあります。こうしたグループの資産を積極的に活用しながら、他社との差別化を進めていきたいですね。

現在の日本社会は、外国人材を含めた多様な人材によって支えられている。来日外国人、在日外国人、日本人が互いの文化や習慣を理解しながら、共存共栄社会を築くことが不可欠なのは言うまでもない。そのためにも、外国人材が安心して働ける法律や職場環境を整備し、企業や地域社会の受け入れ態勢の整備や理解を深めることが重要である。

吉永さん

外国人を取り巻く社会問題が深刻化している面もあります。私が彼らと接するたびに感じるのは、その純粋な心。日本人が見失っていたことに気づかされる瞬間が、しばしばあります。その一方で、日本の文化や習慣を知らないばかりにトラブルにつながるケースも少なくない。日本語学習や異文化理解に努める企業と、労働力としてのみ扱う企業との間で、今後ますます二極化が進むことでしょう。
彼らは数ある国の中から日本を選んでくれました。企業も地域社会も、私たち日本人はもっと外国人材に対して、感謝の気持ちを持つ必要があると感じます。

笑顔で寄り添いながら、手を取り合って患者様とお話するイマスさん。
その温かい心遣いは、患者様との深い信頼を育んでいる。

現在立ち上げが進行中のAHCの海外事業チームが、近い将来、次世代型の外国人材事業スキームを生み出すことだろう。これまでにもAHCGは、さまざまな人材が活躍する事業を展開してきた。そして今、新たに人種や国境を越えた、まさにボーダーレスな「共存共栄」が具現化しようとしている。

後編に続く

本サービス運営会社

株式会社アソウ・ヒューマニーセンター

総合人材サービス業を展開する株式会社アソウ・ヒューマニーセンター。
私たちは、人材派遣、人材紹介、教育研修、BPO、新卒採用、障がい者雇用など、人材に関するあらゆる課題に対して、アソウ・ヒューマニーセンターを中心に、各分野に専門特化したグループ会社の総合力を駆使して、課題解決に全力で向き合います

株式会社エヌ

就労人口の減少、高齢化が進む「農業」「水産業」を、労力支援を通じて支援するために設立されました。「特定技能」の外国人材と共に、地域の農業・水産事業者の事業拡大の推進、そして外国人材の方々の生活支援を通じて、共存共栄の仕組みづくりを目指します。

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